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00の世界を借りて、いろいろ書き散らしています
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 前作が暗かったので、明るく萌を追求してみよう、とチャレンジして、玉砕しました。おかしい、こんなはずではなかったのに・・・。

 えー、時間的には8話と9話の間の4ヶ月の話。
 話の都合上、ミッションを捏造しています。それは近日アップ予定。
 がんばったので、15禁指定
 んなもん15禁にならんわ!という声もありそうです。そんな話。


 アレルヤの一人称。
 アレ→←ティエでロク刹な話、一応15禁。
 




 僕たちの恋愛スキル

 
 
 

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 急にティエリアがデスクから滑るように降りてきた。僕の顔を両手で挟み、ふわりと空気みたいに僕の唇に自分のそれを重ねる。   
 呆然としている僕の目を見て、やわらかくほおに手を添えたまま、穏やかな満足した顔で彼は離れた。



 僕たちの恋愛スキル



 僕たちは特別なことをしていたわけじゃない。先日のミッションデータを検証して今後の参考に。そんな話をして、ブリーフィングルームにやってきた。
 僕が端末を操作して、ティエリアは行儀悪く端末の乗ったデスクに腰掛け、僕を上から見下ろす。二人きりで検証するときのいつものポジション。見られて面はゆいけど、僕はこの位置が嫌いじゃない。彼が近くにいて、リラックスしている姿を見られることは嬉しい。
 なぜなら僕は、ティエリア・アーデに片想いをしているから。
 同じガンダムマイスターで、男同士で・・・と、どう考えても尋常でない恋だけど、僕はそれなりにこの状況を楽しんでいる。ソレスタル・ビーイングの駒として武力介入の先鋒を担う以上、明日をも知れたもんじゃないし、小さな幸せくらいあったっていい。
 ロックオンと刹那みたいに、その辺を飛び越えて成就させてみたい気持ちもあるけど、女の子とすらまともな恋愛経験もないのに、一体どうしたらいいものか見当もつかない。だいたいあれは大人で経験値のあるロックオンが、刹那をたぶらかし・・・もといリードしているから、成り立つ話だろ。刹那はまだ16歳の子どもなんだから。僕は絶対うらやましくなんかないぞ。
 ティエリアにしたって、たぶん僕より1、2歳年下だと思うけど、あの性格から言って、恋愛経験があるようには見えない。いやたとえあったとしても僕らは男同士だし、第一彼の頭はヴェーダとミッションでいっぱいだろ、恋愛の成功率0%だから!
 でもそれでも、一番近くにいたいって思うんだ。性懲りもなく。
「押し倒しちまえ」と兄貴は恐ろしいことを平気で言うけど、それはむしろ人としてどうなのか。
(お前が人かよ)という内なる声には、この際耳をふさぐことにする。


「何してる。早くしろ」
 ティエリアに催促されて、僕の思考は浮上した。そうだった。慌てて端末を操作する。
 ヴァーチェとキュリオスは、一緒にミッションをする事が多い。ヴァーチェが目標を破壊して、僕は空からそれをサポート。ミサイル基地や工場など固定目標を叩くときには効率がいい。
 今日は先日二人でおこなった、兵器工場殲滅ミッションについての検証だ。
 途中からイレギュラーな戦力が介入してきて、予定外の対モビルスーツ戦になった。敵は単騎ながら動きが巧妙だったこともあって、ヴァーチェが苦手な接近戦を演じることになった一幕だ。
 結局二人で奮闘の上辛勝したという、しんどい戦闘だった。でもおかげで、フレキシブルに対応する重要性を今更ながらに実感したよ。その辺はティエリアも同感だったらしい。
 それで、スキルアップのためにこうやって検証しにきた。何にせよ、二人きりっていうのは嬉しい。
 さて、検証開始。
 スクリーンに映像が走る。
 悔しいけど、敵の動きは無骨だけど華麗で、まるで剣舞。見ているだけならその見事さにため息が出るくらいだ。刹那の動きと、よく似てる。
 僕の必殺の一撃!と思った弾丸もさらりとかわされて、悔しいことこの上ない。
 またこいつと戦うことになったらどうするか。そんなことを考えて、ふむ、と口をとがらせ、左手のこぶしを軽く握って人差し指をあごに当てた。僕のくせだ。
 そしたら、急にティエリアがデスクから滑るように降りてきた。僕の顔を両手で挟み、ふわりと空気みたいに僕の唇に自分のそれを重ねる。ほんの一瞬の接触。   
 呆然としている僕の目を見て、やわらかくほおに手を添えたまま、穏やかな満足した顔で離れるティエリアに、僕は
「どうして・・・?」
って聞いた。僕は君を好きだけど、君はそうじゃないだろう?


 一瞬でティエリアの顔がゆがんだ。
「この、ばか」
「ええっ!?」
 吐き捨てるみたいに言われて、強引に椅子からひきずり出され床に押し倒された。無重力とはいえ、勢いよく床にぶつかれば痛い。反動で僕たちの身体が宙に浮いた。
 さっきの穏やかさが嘘みたいに、激しい感情を灯した目で射られる。顔をつかまれ、唇が重ねられた。
 何が起きたのか。僕の頭が状況を把握したのは、たっぷり10秒は経ってからだ。
 ティエリアにキスされてる。
 自覚した途端、心臓が出力全開で跳ね出した。身体が動かない。頭が混乱する。僕の顔はたぶん真っ赤だ。熱いから。
 彼はぎゅっと目を閉じ、唇を僕に押しつけたまま動かない。自慢じゃないけど、僕だってどうすればいいのかわからないから、されるがままになってしまう。
 眼鏡と鼻がぶつかって邪魔だとか、まつげがすごく長いとか、混乱して余計なことに思考が飛ぶ。
 ふいに、ティエリアの身体が震えているのに気がついた。
 混乱しているのは僕だけじゃない。顔を真っ赤にして、一所懸命になっているのがわかった。
 すごくかわいい。
 これってもしかして、うぬぼれてもいいってことなんだろうか?
 目を閉じて唇に神経を集中すれば、やわらかい感触を実感する。そこを中心に、むずがゆい何かが波みたいに全身に広がっていく。力が抜ける。ティエリアの身体が、あったかくて気持ちいい。
 彼のにおいを吸い込むと、身体の奥で何か熱が生まれた。髪がほおをすべる感触に背中がぞくりとした。そのとき
「二人ともここにいるのかー・・・っておいい!」
 ブリーフィングルームの入り口が開き、ロックオンと刹那が立っていた。
 慌ててティエリアを引きはがし、
「ロックオ」
ン、と言おうとしたけど、僕の声は、再びキスをしてきたティエリアの歯が、僕の歯に激突して遮られた。勢いで床に頭がぶつかる。歯も頭も痛くて涙が出た。たぶん唇から血が出てる。鉄の味がする。
 ティエリアも涙目になって、手のひらで口を押さえた。そのまま入り口を燃えるような目でにらみつけ
「出ていけ!ロックオン・ストラトス!」
「ティエリア、おま」
「出ていけと言っている。あなたには関係ない!」
「いや、でも・・・」
 ロックオンの目には、僕が押し倒されているように映っているだろう。大丈夫かと視線を送られ、僕は目で頷いた。
 けどそれが火に油を注いだらしい。ティエリアが僕に向き直り、再び唇を合わせようとしたそのとき
「ティエリア」
 刹那が声を発した。


 僕たちの視線を確認した刹那は、スクリーンから目をそらすようにロックオンを自分に向き直らせると、両腕に軽く手を添え、「ん」と目を閉じる。
「刹那?」とうろたえるロックオンに再び
「ん」。
 ちょっとまって。これはまさか、キスのおねだり?
 僕たちの目の前で。
 ロックオンが僕たちと刹那を見て戸惑う。じれた刹那が顔を引き寄せて、ロックオンの唇をぺろりとなめた。
 そのまま刹那の方からついばむようなキスを繰り返す。顔の角度を変えて、何度も何度も。
「お、おい・・・」
 ロックオンが止めようとするけど、刹那は顔を固定して許さない。なめたり、ついばんだり。唇を甘噛みしたり。
 これが刹那?
 いつもの無表情ぶっきらぼう少年とは全く違う、艶をまとう生き物。
 一心不乱に唇を求めるその姿--特に目--が、ひどくエロティックだ。
「せつな・・・」
 ため息みたいに恋人の名前を呼び、とうとうロックオンも応えはじめた。キスがだんだん深くなる。
 互いに目をつむり、唇をむさぼりあう。身体に腕をからめ、手をすべらせていく。
 刹那の手が、ロックオンの髪をわしゃわしゃとかきむしる。ロックオンの手は、刹那の背中をはい回る。首筋から腰へと背中を指がゆっくりすべって、
「はあ・・・っ」
 艶っぽい声を出して、刹那の身体がうねった。
 ロックオンはのけぞった刹那のあごに舌をはわせ、のどもとにかみついた。刹那の全身がぱっと赤くなって、空気にまで色がついた気がした。刹那の左手首を掴み、その内側に口づける。舐めあげると
「ンあ・・・」
と悩ましげに啼いてふるえてみせた。
 ロックオンはそのまま手のひらから甲に唇をすべらせつつ、別の手で恋人の腰を自分のそれに引き寄せる。
 二人とも、服を着ているというのに、まるで裸の接触を見ているようだ。
 もうこれ以上見たらいけない。これはもう、秘め事の世界だ。
 なのに目をそらせない。
 もういちど、軽くキス。唇を離し、目線を絡ませる。そのまま舌を戯れるように触れ合わせた。
 刹那の歯が、ロックオンの唇をゆっくりとはむ。
「刹那」
「ん・・・」
 応えるように、またもやディープキス。深く深く、何度も何度も。
 ようやく離れた二人の間に糸が引かれた。

 
 ふいに「行こ」と刹那。
 我に返ったロックオンが、「あ、いや、その」と僕たちを見て慌てたけど、刹那はそんなロックオンの耳元に何事かささやいた。ロックオンは顔を赤くして、腕を引かれるがままになってしまう。ほ、骨抜きにされてる。16歳に。
 刹那はおもむろにティエリアに視線を合わせて、
「お手本」
 捨て台詞を残して、ブリーフィングルームの外に消える。
 お、お手本って刹那・・・。
 今君、鼻で笑っていなかった?

 



「無理・・・」
 ややあって、呆然とつぶやいたティエリアの台詞が、僕と彼を現実に引き戻した。
 お互いの身体の近さに気がついたのは、たぶん同時だと思う。彼のにおいと体温が急に実体化して、僕は全身の温度が急上昇した。身体の一点に、その熱が集中する。
 その瞬間
「この、大馬鹿がっ!!」
 突き飛ばされ、また後頭部がしたたかに床にぶつかる。激痛で星が散った。いくら僕が石頭でも、今日はさんざんだ。
「ティ・・・ティエリア!」
 彼は飛ぶように離れていく
「近づくな、変態!」
「へ、変態って」
 ブリーフィングルームのドアが閉まった。取り残されたのは、僕一人。
 さっきのキスの意味は、とか、僕のことどう思っているの、なんて聞けるはずもなく。

 ・・・あのとき僕の身体に何が起きたかは、お願いだから察して欲しい。


 スクリーンでは、むなしくデータがリピートされ続けている。
 キュリオスが敵に弾丸をたたき込む。
 僕の必殺の一撃!がさらりとかわされて、むなしく弾丸が地面を叩くと同時に、僕はがっくりと肩を落とした。





 end

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