00の世界を借りて、いろいろ書き散らしています
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9話派生SSです。
オーバーホール中のお話し。人物と世界はすべてこれまでの小説からつながっています。
「戦いすんで日が暮れて」の人物設定が生きてます。
アレルヤがイアンに坊主とか呼ばれてます。
あと食べ物の好き嫌いはイメージです。公式ではどうなんでしょう?
イアン語りのアレ→ティエとロク刹。
お父さんは心配性
お父さんは心配性
んあー疲れた。休憩しようや、ハロ。
ちょっと聞いて欲しいことがあるんだよ。独り言みたいなもんだから、つきあえ。大丈夫。もうすぐエクシアのメンテは終わる。俺は人間なんだよ。休ませろ。
そうそう、独り言だからな、ヘルメットにくっついてな。こっそり振動で声を拾ってくれや。
いや、さっきな、昼飯食っていたら、マイスターの連中が入ってきて、珍しく4人つるんでいやがったんだ。
「よ、おやっさん、メシか」
「イアン、お疲れ様」
なんてロックオンと坊主が声をかけてきて、俺の周りに座った。
俺の向かいにロックオンが座ったら、その隣に刹那が腰掛けて。反対隣に坊主、で、ティエリアはその向かいに座った。俺の横って事だ。
話は自然とオーバーホールのことになってな。
「4機もいっぺんになんて、大変だな、おやっさん。倒れるなよ」
「やっぱり整備を手伝う」
とまあ、可愛いこと言ってくれるわけよ子どもたちは。いいよなあ。お、わかるか、ハロ。
刹那の言葉は丁寧にお断りして「まあそろそろオーバーホールが必要な時期だったからな」と俺は答えておいた。
坊主が「僕、スメラギさんに、今敵が攻めてきたら?って聞いてみたんですけど」って言うから、その答えを聞いてみたら、
「神を恨むわ」
って言っていたって・・・な。
刹那の顔がゆがむのが分かったぜ。
俺もただでさえまずいメシがいっぺんにまずくなった。思わず
「はなっからいもしねえもの恨んだって、言い訳だろう」
って吐き捨てた。刹那が俺を見て目を丸くしていたよ。
・・・まあな、ちゃんと言ってやったぜ。オーバーホールはエクシアから一機ずつ。手をつけていない機体はちゃんと出撃できるってな。
ちょっとお嬢ちゃんは気がゆるんできたみたいだ。こういうときが危ないんだよ。
まあ、なんだかんだで奴らもメシを食い始めた。
ロックオンは気をつかって、俺に話を振ってきてな。俺は整備の状況とかを報告がてら食っていたわけだ。
そしたら突然
「ティエリア、玉ねぎ残してるよ」
「問題ない」
「栄養あるんだよ。食べなきゃだめだよ」
「嫌いなんだ」
ときたもんだ。
びっくりして、そっちを見ちまったね。
ティエリア・アーデはなんつーか、つららみたいな子だろう。
透明でまっすぐで、きれいだけど硬いところばっかりでとりつくしまがないみたいな。坊主と結びつかないよな。
その二人が、会話しているんだから。
ロックオンは興味津々で見ていて、刹那は無関心。
「好き嫌いはいけないよ」
「嫌いなものは嫌いだ」
って、ティエリアは自分の玉ねぎをまとめて坊主の皿に移して、かわりにミニトマトを全部さらっちまった。
「僕のミニトマト~!」
「玉ねぎやっただろう。栄養あるぞ」
「そうじゃなくて・・・」
それ以上抵抗しても無駄だと思ったのか、坊主はしゅんとして、玉ねぎを食べ始めた。
あんまりしょんぼりしているもんだから、お兄ちゃんはかわいそうになったんだろうな。
「アレルヤ、やるよ俺の・・・」
と横から言ったそばから、ティエリアがいきなり自分のミニトマトを掴んで、坊主の口に押し込んだ。
ありゃ口ん中に指まで入っていたな。
なんだなんだハロ、ばたばたすんなって!
固まったね。俺とロックオンが。
坊主は首まで真っ赤になって、「あ、ありがとう」って声をうわずらせてんのに、ティエリアは「別に」ってメシ食って。
そのあとは沈黙だよ。
坊主は顔赤らめたまんまでちらちらティエリアを見るし、ティエリアは無視。刹那はマイペース。
ロックオンが物問いたげに俺を見るんだが、んなもん知るか。
俺だってびっくりだよ。
メシも終わろうかというときに、また事件があった。ってだからハロ、なに興奮しているんだ。
食い終わって立ち上がろうとしたティエリアに
「まだちゃんと食べてないよティエリア。ごはんつぶ」
って坊主が指摘した。確かに飯粒が一口分くらい皿にくっついていたんだよな。
坊主はその飯粒をスプーンでかき集めて、ティエリアに
「はい」
って差し出した。俺はあごが外れたね。
「はい、あーん」だぞ。普通男同士ではやらんだろう。
だがティエリアのやつ、表情ひとつ変えないで、ぱくっと食べやがった。
もぐもぐ噛んでいるティエリアに坊主のやつ「ごちそうさまは?」だと。
なんとそしたら「ごちそうさま」ってティエリアが・・・ってハロ、痛い痛い!叩くな!!もだえるな!!
まあとにかく、そんなわけだ。
ティエリアを追いかけるみたいに坊主が出ていっちまって、俺とロックオンは止めていた息を吐き出したね。
「あれは何だ」
「いや、俺も・・・。あいつらができたって話は、まだ聞いてないんだけど・・・」
ロックオンも呆然としていたが
「ティエリアはアレルヤのことが好きなんじゃないのか」
って刹那が言うんで、また固まった。
「な、なんで・・・」
「アレルヤのことは知らない。でもティエリアの目を見ればわかる。お前とアレルヤがつるんでいるときの・・・」そこで刹那は横を向いて、ちっさい声で「・・・俺とおんなじだから」。
ロックオンは真っ赤になっちまうし、刹那はもじもじしているしでもう、俺はこれしか言えなかったね。
「ごちそうさま・・・」
・・・まあ、男同士なんて、どうかとは思うんだけどな。
こんなヤクザ稼業だ。しあわせになれればそれでいいじゃないかと思うぜ。人生は一回こっきりだ。
自分に正直に生きていないと、本当に、後悔するんだよ・・・。
それに俺は24世紀を生きる男だぞ。理解ある大人なんだよ。子どもらの事は、みんな可愛いし、心配なんだ。
俺はあの4人の中で、ティエリアが一番もろそうだと思うんだよな。
まっすぐすぎるやつは、何かあったらポッキリ折れちまう。人間ある程度、しなりが必要だろ。
そんな人間らしさを坊主が補ってやれるなら、それでいいんじゃないか。
命短し恋せよ・・・、ってな。
でもなあ、俺はなあ・・・。
なんかちょっと、いろいろ考えた訳よ。
この俺の気持ちはなんなんだろうってな。
で、これはあれだ。あのほら、あれ。あれだって。
娘をヨメにやる父親の気持ちってやつ?
・・・ってハロ、無視すんな!飛んでいくな!もどってこい!
こっからがおじさんの大事な話なんだから、ちゃんと聞けって!
おい、ハロ!
end
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