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00の世界を借りて、いろいろ書き散らしています
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 久しぶりに「祭の後」をアップします。TV本編放映日だというのに~。
 11話派生なのですが、すっかり違う方向へ行ってしい、アップを迷ったのですが、中途半端なのも何かな~と。
 結構長くなりそうなので、しばらく続きそうです。このシリーズ。
 
 そんなわけで、ひっそりとアップ。
 


 祭の後 03 その3  ~ティエリア・アーデの場合
 

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「あ・・・」しまった、という気配。
 アレルヤ・ハプティズムが入り口に立っていた。




 祭の後 03 その3  ~ティエリア・アーデの場合




「やあ・・・」とアレルヤは言うが、態度がよそよそしく見えて、神経に障る。「突っ立ってないで、入ればいいだろう」と、きつい物言いになった。
「うん・・・」
 それだけ言って、アレルヤはドリンクサーバーに向かう。洗浄機に向き直り、背中で気配を追いながら、ティエリアは動けないでいた。
 背後でかたん、と飲料を取る音。それからそっと、入り口へと戻る気配。
「おやすみ、ティエリア」と穏やかな声がかかる。
「なんだ・・・ずいぶん、いそがしそうだな」
 そのまま逃したくなくて、思わず振り向いて声をかけた。アレルヤが立ち止まりこちらを向く。(やっぱりそうだ)と思った。人の話をぞんざいにしない男だ。彼は。
 久しぶりの会話に、今し方紅茶を飲んだばかりだというのに何故かのどが渇いた。
「うん・・・いろいろとね」
「もうミッションは終わった」
「そうだね。本当に・・・」
と、かみしめるようにアレルヤは言う。「いろいろと」の意味を、本人の口から聞きたかったが、なんと問えばいいのかわからず、口をつぐんだ。
 そんな様子を気遣ったのか、アレルヤが笑顔を作る。
「・・・遅くなったけど、ミッションのサポート、ありがとう。感謝してる」
「いや。別に・・・プラン通りこなしただけだ」と答えながら、こいつはこれだから・・・と、心の中で舌打ちした。
 憔悴した顔をして、目の下に盛大なくまを作って、なのに律儀に礼なぞ言ってくる。疲れているときくらい、人に気を使わなければいい。
「そういえば、こうして君と二人で話すのも、すごく久しぶりだな・・・」
 言ってしまって、ティエリアは自分の言葉に愕然とし、思わず口を覆った。
 これじゃ自分がアレルヤと二人で話したがっていたみたいじゃないか。
 アレルヤが目を見開いて自分を見る。彼にもこちらの気持ちを悟られたと気づいた。
 彼と話せなかったこと、それが自分の感情が乱れていた原因だと、ようやくはっきりと言葉になったことにティエリアは困惑した。緊張はしたが、さっきまでの不安定な感情の波が嘘みたいに凪いだ今の会話・・・。結局自分が何を--誰を--求めていたのか、否応なく自覚させられてしまう。
 アレルヤが自分を見て、はにかんだ顔でほほえむものだから、羞恥心がどっと押し寄せてきた。
 こんな風に感情を乱してはいけない。ガンダムマイスターたる自分にとっては、冷静な心と揺るぎない信念とヴェーダへの忠誠だけが大事で、自分を不安定にさせるこの男は、単なる不安要素でしかなくて、距離をとるべきで・・・。
 距離をとる、という言葉が胸に刺さった痛みはあえて無視して、ティエリアは姿勢を正して腕を組み、顔を引き締めた。
「いつもはうっとうしいくらい構ってくるくせに、しばらく君がいなかったものだから、拍子抜けしたよ。また小言を言われると思って、避けていたか?」ことさら冷笑してやる
「まあその間に、知らないところでスメラギ・李・ノリエガとは親交を深めたようだが」
俺には関係ないがな、と付け加えてみる。アレルヤの表情が凍った。


 きっと次はこの男の事だ、いつものように「ティエリアは相変わらずだね」と、仕方なさそうに笑うだろう。
 もしくは、黙って出て行くか。ほんとうに、ただそれだけのことだ。
 どんな反応がかえってこようと、感情が収まればそれでいい。うるさい心臓の音を無視して、ティエリアは、アレルヤの反応を待った。 

 
 しばらくティエリアの顔を見ていたアレルヤだったが、ふいにくしゃりと、ひどく傷ついたように顔をゆがめた。
「やっぱり・・・そうだよね。君は」
と、アレルヤは力なく笑う。深いため息をつき、緩慢な動作で壁によりかかり、ずるずると床に座り込んだ。
「君はあ、僕を何だと思ってるの・・・君の都合のいい奴隷?」
 予想と違う反応に、ティエリアは戸惑った。
「アレルヤ・ハプ・・・」
「ちがう」アレルヤはきっぱりとティエリアの語尾を奪い取った。「アレルヤだよ、ただの。そう呼んでって、いつも言ってる」
 口調は静かだが、怒って傷ついている。自分の言葉が予想以上の効果をもたらしたことを悟った。
「いつもいつも、そうやって誰でもコードネームをフルで呼んで、壁作っちゃって、きつい言い方ばかりして、僕は全然、近づけなくて・・・。話しなかったから、どうだっていうの・・・」
「・・・」
「僕が君のところに行かなくたって、今夜スメラギさんのところに行ったって、そんなの僕の自由だろ?僕は君にいちいちお伺いをたてなくちゃならないの?」
「そんな意味じゃ・・・」
「じゃあ何だよ」
 アレルヤがからむ。
「僕だって、しんどい時もあるよ。いろいろあって、余裕、全然ないし・・・。今日ぐらい、お酒に頼ってみたくなったっていいだろ?」
「酒?」
 言われてみれば、アレルヤの顔はこころもち赤らみ、目がとろんとしている。
(酔っているのか?)
 困惑していたティエリアだったが、それで彼の態度に納得することにした。酩酊すれば、感情が表に出やすい程度の知識はある。
 自分の口調や態度は他人を不快にさせるようで、クルーからは敬遠されがちだ。
 その自分と対極の存在がアレルヤで、人を気遣う彼はことあるごとに自分に構ってきた。むしろそれでも近づいてくるアレルヤに、最近ではこちらも試すようにきつい物言いになってきていたから、酒の力を借りて今不満を言われても、特段驚きはない。酔っているなら、怒りもわいてこなかった。
 自分がスメラギのことを当てこすったのは、ブリーフィングルームで二人が密かにミッションプランを進めていたことだったのだが、それを彼は今夜のことだと勘違いしているらしい。
 今夜のこと―――?。
 思い至って、心臓が跳ねた。
 アレルヤは、「今夜スメラギさんのところに行った」と言っていた。
 つまり、彼はスメラギ・李・ノリエガの個室を訪れて、酒はそこで飲んだのだろう。
 時計を確認すれば、すでに深夜の1時をまわっている。
 今は彼女の部屋の帰りということか?
 二人っきりで、彼女の部屋にいた?


「お楽しみでよかったな。アレルヤ・ハプティズム」
 自分でも驚くくらい、冷たい声が出た。



 to be continued

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