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本当は14話のサイドストーリーとして、もっと長いお話で、タイトルも別だったのですが、あれもこれもと浮かんできて収集がつかなくなり、とりあえず出会い編を。そのうち続きもアップしたいです。
 なお作中一部某ロボットアニメ(漫画)の一部を参考にしております。分かった人は、お仲間vv

 というか、

 誰にも需要のないアレルヤとイアンの小話
 
 「わし」という一人称に違和感があったので、イアンの一人称は「俺」のままです。
 そうです私はイアン大好きなんです~!!!



 アレルヤ一人称で、イアンとの出会い



 決意の儀式



 決意の儀式
 


 イアン・ヴァスティという人に最初に会ったのは、僕がガンダムマイスターとして、初めてキュリオスと対面した時だ。
 母艦のプトレマイオスに到着して、これがあなたが乗る機体よ、とスメラギさんにハンガーまで案内されて、目に飛び込んできたのは白を基調として、オレンジと黒に塗り分けられたシャープなフォルムのモビルスーツ・・・飛行タイプの可変機と知っていたけれど、そのときは人型をしていた。僕の目の前に横たわるキュリオスは、一瞬現実感がなくて、そこだけ遠近感のない絵のように思えた。つまりそれくらい大きくて、全体を見渡せなかったってことだ。
 冷たく光る機体を、ただ呆然と---胸の内に去来する、恐れとか、喜びとか、ためらいとか、整理のつかない感情に身を任せながら---見上げていた僕に、頭上から彼が声をかけてきた。
「おー、来たなキュリオスのパイロット。上がってこい」
 声の方を見やると、僕たちの頭上、ちょうどコックピットのある当たりから、ひょっこりと男の人が顔を出す。スメラギさんの方を見ると、いってらっしゃい、と目が言うので、僕はほんの少し床を蹴り、ゆっくりと彼に近づいた。
「うまいもんじゃないか」
 絶妙のバランスで、腹部に取り付く僕に、彼は声をかけた。僕は顔をしかめる。無重力での動作が優れているのは、超人機関で作られた能力のおかげだ。彼はそんな僕の様子に頓着せず、僕に正対し、ノーマルスーツに覆われた手を出した。
「メカニックのイアン・ヴァスティだ。よろしくな」
「はい。僕はアレルヤ・ハプティズムです。どうぞよろしく」
 出された手を握り返す。年の頃は50位。眼鏡をかけて、髪に白い物が混じっている。僕よりも背が低く、体格も細身で、およそ戦闘経験があるようには見えない。純粋にメカニックとしてソレスタル・ビーイングにスカウトされたのだろう。学究的には見えないから、民間企業のモビルスーツ開発者か、軍人でも技術屋か・・・とあたりをつけた。
 握った手の感触に、僕は冷や汗が浮いたのを感じた。
 今まで僕の周囲にいた、彼と同年代の男性といえば、超人機関の研究員達---僕たちをモルモット扱いして、興味の赴くままにいじくった奴ら---しか知らなかったから、自然と警戒心が沸いたのだ。
 イアンは握り替えした手をそのままに、僕に「お前さん、身長伸びたか?」と聞いてきた。
「え?」
「身長だよ。うん、・・・バランスが取れているし、いい筋肉もついてそうだな」
 ふむふむ、と言いながら、僕の頭から足先まで見分する。僕は恥ずかしくなった。彼と違い僕はパイロットスーツを着ていて、身体の線が露わになっていたので。
 彼は僕の手の平から、腕、肩なんかを掴んだり、ぱんぱんとはたいて手応えを確かめたりしている。腰に手を当てられて、僕は慌てた。
「ちょ、ちょっと何を!」
「何をって、体格を確かめてんだよ。ちょっとこい」
 そう言って、引きずられるように僕は、キュリオスのコックピットに座らされた。初めてコックピットに座った感慨なんてあったもんじゃなく、イアンもコックピットに入ってきて、僕の周りでなにやら作業を始める。
「もらっといたフィジカルデータをもとに、調整しておいたんだが、若干変わったみたいだな」と、僕の頭をぐりぐりとなでまわし、正面から目をのぞき込み、笑った。「成長期ってことだ。まだまだ」
 シート調整を始めたイアンの鼻歌を背後に聞きながら、僕の思考は完全にフリーズしていた。
 頭をなでられた。そして、笑われた。
(な・・・なんだったんだ、今のは)僕の半身も動揺気味だ。
「うん。びっくりしたねハレルヤ」
「何か言ったかー?」
「い、いえ」
 イアンは作業を続けていく。微妙なシート調整を続ける内に、はじめは違和感のあった硬いシートが、だんだん身体になじんできた。
「アームレストはどんな感じだ?」
「あ、はい・・・すこし左が遠い気がします」
「どれどれ」
 僕と話を進めながら、微調整を続けていく。フットペダルの踏み込みや、ハンドグリップ、レバーの遊びなんかを調整していくうちに、コクピット内のすべてがやんわりと身体になじんできた。心地良い一体感。自分の身体の一部みたいだと言ったら大げさだけど、窮屈さやストレスを感じることなく、思うように操作できそうだ。
「すごいですね」
 僕は正直に感嘆を言葉に乗せた。それまで訓練やシミュレーションで色んな機体を扱ったけど、それは機体に自分を合わせることであり、その逆はなかったからだ。
「そっかあ?こんなごっつい機械だからな。ちょっとでも気持ちよく乗ってくれりゃ、それに越したことないってだけの話だ」 
 そう言ってまた僕を見てにっこり笑う。憎めない人だ。僕も思わず笑っていた。
「俺もこの年になって、またこんなごっつい機械にさわれると思うと、嬉しくてなあ」
 と、しみじみと言う。この人本当に機械が好きなんだ。子どもみたいだなと思った。
「だいたいの整備はAIがやってくれちゃうんだが、やっぱりいいところは俺が自分の手でやりたい訳よ。メカニック冥利につきるってやつでな」
「はあ」
「う・・・」
「?」
「うっふっふっふっふっふ・・・・・・・・・・」 
 イアンがそりゃもう不気味に笑っている。眼鏡にきらーんと怪しい光を輝かせ、コンソールに手をついて背中を震わせているその様子に、僕たちは思いっきり引いた。
 僕とハレルヤは、ほとんど同時につぶやいていた。
「(マ、マッドエンジニア・・)」

 
「さてと、調整終わり。あとは生体認証だ」
 よっこらせ、とイアンは立ち上がる。あー、年食うと同じ姿勢は疲れるんだよ、と腕や腰を回すのだが、狭いコックピットの中、回した腕が僕の肩に当たった。
(おいおい、おっさん)とハレルヤが文句を言う。勿論イアンには聞こえない。ハレルヤがこんな風にいちいち人の挙動に反応するのはめずらしい。
 イアンはよっこらせ、と僕一人を残して、コックピットを出た。
 彼が出て行って、コックピットが閉じられれば、生体認証が始まる。網膜やら静脈やら声紋やらのパターンが登録されるというのは、事前に知らされてあった。
 彼はキャノピーに手をかけ、僕を見下ろし、ひた、と見据える。
「いいのか?」
「え」
「今ならまだやめられる。こいつに登録しちまったら、こいつはもうお前さんの言うことしか聞かない」
「・・・」
「お前さんも、ずっと縛られる。逃げ出せないぞ」
 そのとき僕は気づいた。パイロットを出迎えるのも、コックピットの微調整も、そしてこれも。この人なりの、儀式なのだと。
 パイロットに引き渡したときから、ガンダムはただの機械じゃなくなる。ガンダムと一緒に、パイロットも兵器になる。
 そして彼は、稀代の殺戮兵器の制作者だ。


 僕は彼の瞳を見上げた。そして、笑ってやった。
「・・・覚悟の上ですよ」
 イアンは一瞬瞳を揺らして、そして黙ってキャノピーを閉める。
 一瞬後、青い光が僕をスキャンし始める。生体認証が始まった。



 end

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