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00の世界を借りて、いろいろ書き散らしています
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 第7話派生エピソードです。やっと書けた~。
 TOKYO DAYS 03 の続き話。
 作中の関係は管理人の捏造です。こうだったらいいなー、という。
 ロク+アレ+イアン。
 7話語シリアス編。
 コミカル編は金曜日にアップ(予定)。

 

 戦いすんで日が暮れて   



 戦いすんで日が暮れて




 キュリオスのハンガーにさしかかると、夜中だというのに明かりが灯っているのが見えた。
 入り口からのぞくと、暗闇の中、翼上だけに明かりがついており、作業している音が聞こえる。
「何してるんだ。こんな夜中に」
 頭上に声をかけると、
「昼間やっちゃったところを直してるんですよ」
とアレルヤの声が降ってきた。昼間モラリアのミッションの際、渓谷の岩肌にこすった翼のことだ。
「ドンマイ、じゃなかったのか?」
「傷が残りますから」
「あー、まったくだ」
「おやっさん?」
 下からじゃわからなかったが、アレルヤと一緒におやっさんもいるらしい。
「そんなにひどいのか?」と俺は顔をしかめた。
 平素メンテはオートで行われる。人力が入ることはほとんど無い。ソレスタル・ビーイングきってのメカニックであるおやっさんまで動員するということは、それだけキュリオスの機体に損傷があったということだ。
 しかしそれほど問題があるようには見えないし、報告も受けていないが・・・。
「いんや。坊主が、自分でも直せるようにしておきたいんだと」
「おいおい」
 おやっさん――ソレスタル・ビーイングのメカニックであるイアン・ヴァスティ――は、坊主と呼んでアレルヤをかわいがっている。他人に対して一線を引くティエリアや、捨て猫みたいに人を寄せ付けない刹那と違い、穏やかで礼儀正しい性格とうまが合うらしい。アレルヤも、おやっさんを信頼し慕っている。もちろん、おやっさんへの信頼はほかの2人もゆるぎないし、俺はそれこそ今更、だ。
 だがもう23時を回っている。今日はクタクタなはずだし、おやっさんだって、もういい年だ。いくら甘えたって、今つきあわせる事じゃない。
「そういうのは、別の機会でもいいんじゃないのか。今は体を休める方が大事だぞ」 
「そういうロックオンこそ」
「眠れないんだよ」
「僕もです」
 はあ~、とおやっさんのため息が降ってきた。


 本当に今日はハードな一日だった。モラリアでの5時間にわたるミッション。途中刹那が敵に身をさらす暴挙を犯して心臓が凍ったし、帰ってきてみれば刹那はかたくなで、ティエリアには俺の古傷を嘲笑されて、俺はもう心身ともに限界値だった。
 ティエリアの暴言で頭に血が上ったが、マイスターのまとめ役である立場を忘れたわけじゃない。なんとか感情を収めて、各自明日に備えて休養を取るようにと促し解散した。
 なのにアレルヤは人の気も知らず、おやっさんまで巻き込んで、わざわざ今自分でやらなくてもいい修理をしているときた。
 どうにでもなれ、だ。俺はハンガーの壁によりかかって、右足をかかえて座り込んだ。壁に頭を預けて脱力する。ハロが転がってきて、俺の側に収まった。


 テロが発生した。要求は俺たちの武装解除。
 ヴェーダやミス・スメラギは、このことを予想していたんだろうか。だったら何でモラリアのミッションを・・・いや、よそう。
 新しい紛争の火種をまくつもりなんかない。俺はそんなこと望んじゃいない。
 ただ、争いがなくなればと願い、自分たちの行動がそれにつながると信じている。それだけだ。けれど・・・。
 ため息をついて頭をうずめ、心を静めようと努力しても無駄だった。俺の頭はテロ、という言葉を聞いた時から、あの忌々しい瞬間をフラッシュバックしている。
 爆風に巻き上げられる感覚。残った二人の手。絶望だけの世界。
 平素はうまく隠してある治りきらない傷が、無遠慮な手でぱっくりと開けられたみたいだ。次から次へと血があふれてきやがる。
 ああ、ちくしょう。
 押し寄せる波に逆らって、がむしゃらに前にすすんできたつもりだったのに、たった一言が、いとも簡単に俺をガキの頃へと押し返す。
 こんなのは過去に戻るだけだ。前に進まなくちゃならない。
 俺はガンダムマイスターなんだから。


「おい坊主、あれいいのか?」
「いいんですよ。ほっといて。」
 翼の上から二人の会話が降ってくる。「あれ」って俺のことかよ。
「つめてえ~」
 ぼそっとつぶやくと
「人には偉そうなこと言っておいて、口ばっかりなんですから」
「なっ!」
 思わず立ち上がり、翼の上をにらんだ。
「あれ、まだいたんですか」
「いたよ!なんだよその口ばっかりって!!」
 ああちくしょう、今日は怒ってばかりだ。最悪だ。
 ティエリアだけじゃなくて、お前まで俺にからむのかよ。勘弁してくれ。
 乱れる俺の気持ちとは正反対に、アレルヤは淡々と続ける
「僕にはあれだけ「今しかない」とか説教しておいて、自分は何やってんだよって話」
「何の話だ?」とは、おやっさんだ。


 それはなおやっさん。東京の刹那の部屋で、俺がアレルヤに語った話のことだよ。
「大事な人に大事だって伝えるのは今しかない」って言ったんだ。ティエリアのことが好きなくせに足踏みするこいつを、少しでも後押ししてやりたくて。
 それで調子に乗って、夜明けまで一方的に盛大なのろけ話をきかせてやったときのことだよ。
 

「あれは」
「大事なんだったら、大事にしてやるのはそれこそ今しかないと思うんだけど」
 どき、と心臓が跳ねた。
「自分に余裕がなかったら、都合良くひとりにしちゃえるんだと思ったら、ずいぶん軽い言葉だったなあと思って」
「おい!」
「勝手な大人だ」アレルヤがなじる。
「ちがう!!」
 いや。
 故意に目をそらしていたけど、ちがわない。アレルヤの言うとおりなんだ。
 俺は最初に刹那の部屋の前まで行った。
 本当は顔を合わせて抱きしめたかった。でも動揺がちっとも収まってくれず、刹那の態度にもこだわっていた。
 俺はそんなできた人間じゃない。こんな感情のまま顔を合わせたら、何を口走るかわからない。甘えて八つ当たりして傷つけてしまうかもしれない。そんなの刹那にぶつけたくない。
 だったら、今夜はお互い一人の方がいいんじゃないのか?そんな言い訳をして、部屋の前から去った。
 刹那の気持ちは置き去りにしていた。


「・・・坊主、今日はもうあがるべ。俺つかれたわ」
 おやっさんがのんびりと言った。
「はい。・・・その、すみません」
「いいって。お前さんも、いろいろあるんだろ」
 工具を片付ける音。
「・・・・・・」
「人ってのは、簡単だよ」
「イアン?」
「正直になればいいんだ。正直に」
「おやっさん・・・」
 翼から降りたおやっさんは、俺に人の悪い笑みを浮かべ
「お前が来る前な、坊主が、自分は臆病だから、ロックオンがうらやましいって言っていたぞ。なのにお兄ちゃんがあんまりかっこよくないんで、がっかりしたんだろ」
「イアン!!」
 悲鳴みたいなアレルヤの声を背中で流して、ひらひらと手を振りながら、おやっさんはハンガーを出て行った。
 見送る俺は、相当間抜けな顔をしていたと思う。

 
 ふっと翼上の明かりが消え、ハンガーには廊下の光と常夜灯だけになった。
 アレルヤが降りてくる。
 すねていたのがばれてきまり悪いらしい。顔が微妙だ。ぷぷ、と吹き出してしまった。
「俺、かっこわるい?」
「ものすごく」
「そっか・・・」
「早く行っちゃってくださいよ。待ってますよ」
「ああ」
 サンキュ。と心の中でつぶやく。
「お前はどうすんだよ」
「いいんです。僕のことは」
「オマエモナ!オマエモナ!オマエモナ!」
 突然、今まで沈黙していたハロがアレルヤの周りを跳ね出した。アレルヤはものすごい勢いですぱんと空中でハロをかっさらい、一言
「うるせえ」
 ハロは沈黙した。そのまま落とされたハロがバウンドして俺の元に寄ってくる音だけが、ハンガーに響く。
 ころころころ・・・。
「今別人がいた・・・」
「いいから!」
 アレルヤにばしんと背中を叩かれ、ハンガーを追い出される。きびすを返してキュリオスに戻るアレルヤの顔は、髪で隠されて見えなかった。


 いつの間にか心が軽くなり、冷静になっていた。思いっきり深呼吸して、ハロを抱き上げる。
「それじゃ、かっこいいお兄ちゃんをやりに行きますか」
と歩き出す。
 俺の腕の中でハロがまた「アレルヤ、オマエモナ、オマエモナ!!」と叫び、「うるさいよ、ハロ」と穏やかなアレルヤの声がした。




end

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