00の世界を借りて、いろいろ書き散らしています
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7話後の4人。それぞれが突き抜けてます。別人です。
作戦後は結果報告くらいはするよなと思って書きました。
管理人なりの「機体の動きに感情が乗る」についての考察。
いろいろこっぱずかしいのでつっこみはなしの方向で。
ロク刹とアレ→ティエ。
戦いすんで夜が明けて
--------------------
「うっわー、こりゃひどい。モロじゃないか。やばいぞこれ」
とロックオン。
「丸見えですねこれ、ショックだなあ・・・刹那、大丈夫?」
とは、アレルヤ。
「こんな醜態をさらすなんて、やっぱり君はマイスターにふさわしくない」
とティエリア。真っ赤になってにらみ返す刹那と視線が絡み火花が散った。
戦いすんで夜が明けて
「ちょっといいかげんにして!今はデブリーフィング(作戦結果報告)の時間なんだから!!!」
スメラギの声に、全員がスクリーンに振り返った。
「もう、あなたたち、真剣にやる気あるの?」
「ありますよーやる気満々。刹那のためだかんな」
「ガンダムのためだ。一個人のためじゃない」
「・・・」スメラギはこぶしを握りしめた。
ここはガンダムの地上における主な潜伏場所である無人島に設置されたコンテナ。その一角のブリーフィングルームに、ガンダムマイスターは顔をそろえていた。
長方形の部屋で、壁一面がフルスクリーンとなっており、今そこには2つの画像が表示されている。スメラギの顔と、昨日モラリアのミッションで刹那が対峙した、AEUの新型モビルスーツとの戦闘データである。
刹那がコックピットを開放して自分をさらけ出す暴挙に出た相手だ。
そのことは別問題として、今後のミッションのため、全員のデータを検証しているところだった。
問題になるのは、やはりエクシアのデータ。
砲撃のヴァーチェ、射撃のデュナメス、空中戦のキュリオスに比して、白兵戦仕様のエクシアは、接近戦がメインとなるモビルスーツ戦ではいきおい戦いの中心となり、敵との遭遇率も高い。
現にこれまでにも、ユニオンの新型フラッグと手合わせしており、セイロン島でも、人革連の、量産型ながら明らかに技量の高いパイロットが、エクシアと対峙している。
(つまりエクシアが相手側に墜ちる可能性が最も高いってわけで・・・そういう意味でいくとティエリアの言う不安要素ってのも一理あるんだよな)
ロックオンは、厳しい目でスクリーンをにらんだ。
そこには先ほど走らせたエクシアのデータがリピートされており、明らかにAEUの新型に動きを読まれ切って翻弄されている様子が映し出されている。
(にしても、これはすごいぞ)
AEUの新型は、刹那が間断なく繰り出す技にかすりもしない。
新型とてガンダムの性能には及ぶべくもないはずなのに、機体差を敵パイロットの腕が凌駕しており、明らかに刹那が押されていた。
「こりゃあ、刹那の動きがモロだなあ」
「モロっていうな!」
「丸見えですよ。丸裸です」
「丸見え言うな!」
「こんな醜態さらして・・・」
「いいかげんにしろーーーーーーーーーーー!!!!!」
はあはあ、と肩で息する刹那を、しれっと見やる3人。刹那は荒い息で
「さっきから聞いていればなんだ!も・・・、モロだの、丸見えだの、醜態だの・・・」
「えー、だってなあ」
「ねえ」
とロックオンとアレルヤが顔を見合わせて頷く。仲がいいのだこの二人は。刹那は面白くない。
二人をひっぺがしてやる!と進み出たとき、
「事実丸見えだから仕方ない。君の責任だ。刹那・F・セイエイ」
と、とどめの一撃が刺さってきた。
ぎぎぎ・・・と振り向くと、美貌の天使様が口の端に嫌な笑みを貼り付け
「ガキがムキになっているのが丸わかりなんだよ。モロに、ね」
右手の平を上に向けて、くいくい、と「カモーン」のゼスチャー。
かーん、とゴングがなった。
「だあああああああああああああああああああーーーーーーーーーっやめなさい!!!」
スメラギの一喝が飛ぶ。両手のひらをがっしり組んで押し合いっこしていた刹那とティエリアに、ごんごん!とげんこつをお見舞いして、ロックオンが素早くスクリーンに向き直った。
「それじゃ続きを。ミス・スメラギ」
「痛いじゃないかロックオン」
「あなたは手加減てものを知らないんですか、まったく・・・」
ばきゃ!
スクリーンの向こうで、壁がぽろ・・・と崩れ落ちるのが映し出される。
壁にはスメラギの手がめりこんでいた。
「それでなんなのよ。その丸見え・・・いえ、その、刹那の動きが読まれているっていうのは」
ようやく再開、まともなデブリーフィングが始まった。
刹那が視線を落とす。説明するということは、アリー・アル・サーシェスに言及しないわけにはいかないからだ。
(ロックオンに・・・知られたくない)
AEU新型のパイロット・・・アリー・アル・サーシェスは、刹那を子ども兵として徴用し、軍事訓練を施した男だ。
今刹那をエクシアたらしめる白兵戦の技術は、ほとんどこの男にたたきこまれたと言っていい。
体さばき、足さばきなどの白兵戦の基本やフェイントなどの技術はもとより、ナイフ戦、銃撃戦、地雷やトラップの仕掛け方。また子どもであることを利用して相手にすきを作るやりかたも教わった。
人間の体の仕組みも教わった。
いちばん最初に。「・・・を撃てば一発で死ぬから」と、手ずから銃をわたされて。
おまえの家族を殺してこい。聖戦のために、と。
「刹那は素直なんですよ」
はっと刹那は覚醒する。意識が飛んでいる間に、話が進んでいた。
「どういうこと?ロックオン」
およそそれとはほど遠いと思われる少年に対する「素直」という形容に、スメラギは眉をひそめた。
ロックオンは
「俺たちモビルスーツ乗りには分かる感覚なんだけど、同じ機体を使っていても同じ動きにならないんですよ。動かすのは人間なんだから、AIがコントロールしててもどうしても動きの選択にそいつのキャラが出る。刹那は若いし素直だから、姑息な動きが苦手だし感情が見えやすい。ガンダムの性能が特別だから普通の相手ならどうってことなくても、こいつ」と言いスクリーンを指し「みたいなヤツにかかったら、刹那のキャラがモロ見えになるってわけ」
と説明する。
「???」
「慣れればわかるようになりますよ。あ、こいつ若いなとか、練れた動きしてるから中堅クラスかな、とか頭に血がのぼってるとか」とはアレルヤ。
「??????」
ロックオンが再び説明を試みる。
「車の運転と同じです。車を運転する人ならわかるけど、客観的にドラテクを見てみると、そいつ個人のクセがあるでしょう」
「そんなもの?」
スメラギも車の運転くらいはするはずだが、ピンとこないらしい。
「道路走っているときを思い出せばいい。自分の前に走る車をよく観察する。そうすると、コース取り、ウインカーの出し方、ブレーキ位置やそのかけ方のタイミングなんかで、そのドライバーの人間性とかコンディションみたいなのがなんとなくわかる」
「ふーん」
「ふーんてちょっと・・・。なんって説明すりゃいいのかなあ」
とロックオンは頭を掻いた。
「つまり、よっぱらいは酩酊しているから運転がふらふら危なっかしいし、暴走族は粗暴だからテクもないのにタイヤきしませてこれみよがしに走る。おかかえ運転手はプロだから丁寧に無駄なく走り、滑るように停車できるから水もこぼさない。そんな感じです」
目指したものから若干ズレれたようなそうでもないようなアレルヤの説明に納得したらしく「ああ!わかったわ~」と喜ぶスメラギ。一体俺はなんだったんだよ・・・と落ち込むロックオンの肩をアレルヤがぽんぽんとたたいた。
「・・・!」
思わず刹那は背を向ける。最近とみに二人の仲がいい。気のおけない対等の関係に見える。二人がわかりあっているのが
(すごく、くやしい・・・。嫌だ。ロックオン・・・)
自分が嫉妬している自覚は十分にあった。
「つまり感情を制御しきれてないわけだ」
ティエリアの声が冷たく響いた。
「修行が足りないな。やはりマイスターとしては不適格だ」
「ティエリア、また・・・。今はそれより検証だろ?」
刹那をかばうアレルヤと隣のロックオンをにらみ、忌々しげにスクリーンに目をやるティエリア。しかし刹那はちょっとした違和感に気づいていた。
アレルヤとロックオンをにらむ目が
(俺に、似ていた・・・)
ティエリアの横顔を凝視するが、彼の目はスクリーンに固定されたままで、それ以上は何も見えてこない。
あれも、嫉妬なのだろうか。
だったら一体誰に?
戦いが再現される。
正面からの刃を受け止められ、機体が離れる。再度一直線に切り込もうとする刹那の機体を円運動でさらりとかわす敵に、エクシアが一拍おいて向き直り、手に持った得物を捨ててビームサーベルで切り込む。相手にとって未知数である武器に違いないのに、まるで何度も経験したかのように、ぎりぎりの間合いでもってかわされる。
エクシアの右手が次の得物を求めて・・・。
「ほら、ここ。右手の動き」
アレルヤが指摘する。
エクシアの右手が動くとき、一瞬“止め”が入り、勢いをつけて得物を取る。また一拍ためて、すばやく相手の懐へ。
「これって刹那のくせだよね。すごくわかりやすい。僕たぶん刹那がほかのモビルスーツに乗っていても、刹那だって分かるよ。一見メリハリあるけど、こう、ちょっとヒーローぽく見せるためのおおげさな動きっていうか・・・」
あらためて指摘されよく見ていると、まさにアレルヤの言うとおりで黙るしかなかった。
それにこのくせは・・・
「あ・・・あれ?」
そこに映るのはAEUのモビルスーツ。得物を求めて右手を動かす場面で。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
マイスター4人が黙り込む。
スピードこそ違えど、刹那と同じ動きがそこに映し出されていた。
沈黙を破ったのはスメラギだった。
「え・・・なに。どういうことなの?説明して」
「・・・」
あの映像から導き出される結論。
あのパイロットが刹那に戦い方を教えたのだということ。
刹那があのくせを意識的に真似ていたということ。
おそらくは、憧憬をもって。
せり上がる何かが、声を止めていた。のどの奥が熱い。
これから話すことを、聞かれたくなかった。聞かれたら、俺たちはどうなってしまうんだろう。ロックオン。
刹那の肩に手が置かれた。
「つまり、刹那の動きをモビルスーツととフィジカルの両面から改善すれば、問題が解決するってことです」
刹那の肩を力強く掴みながら、ロックオンが続けた。
「モビルスーツの動きは俺たちでサポートするから、ラッセに言って、刹那のフィジカルトレーニングのメニューを組み直してください。戦闘のクセを洗い出して、もっと洗練する必要がある」
「ああ、そういうことね。それじゃいっそのことカンフーでもマスターしたらいいんじゃない?攻撃パターン変わるわよ」
「相手がすんごい使い手だったら?次はカラテでもさせてみます?」
「それもそうね。今までの動きを基本に、ラッセにみてもらいましょう」と笑う。
「ところでメンタルのほうはどうするのよ」
「それは大丈夫」
アレルヤが請け負い、刹那と彼に寄り添うロックオンを指す。スメラギが「あー、そういうこと」とうんざりした様子で手を振った。
「若いのも困りものね。まあ、だからこそヴェーダが刹那をエクシアに乗せたんだろうけど」
え、と刹那は顔を上げる。ティエリアの眉が跳ねた。
「とっくみあいのケンカは無鉄砲で負けん気がある方が勝つんでしょ?刹那にぴったりだものね」
「ちがいない」
笑い出すアレルヤ。傍らを見上げると、優しく笑うロックオンと目があった。
刹那は急に目が熱くなり、慌てて下を向く。
どの男にそんな事聞いたの、とロックオンがつっこみ、スメラギがないしょだと答える。
場の雰囲気が和やかになった。
「でも洗練された動きっていうなら、もっと適切なモデルが近くにいるよ、刹那」
「え?」
「誰のことよ」
その場にいた一同が首をかしげる中、
「ティエリアのことですよ。モビルスーツでも生身でも、動きがとても洗練されて優雅だし、綺麗で無駄がないから」
「!!!」
アレルヤの爆弾発言に、一同が固まった。
「最初のミッションなんてすごかったなあ~。全然動きに迷いがなくて。デブリをよけるときも減速一切なしで、最短距離を滑っていくんですよ。漆黒の宇宙にひとすじの線がすっと描かれていって、それが静謐で一枚の絵みたいに見えて・・・」
「その口を閉じろ!!!」
ごん!
痛い。これは痛い。刹那とロックオンはおもわず互いにしがみついた。
「・・・った~、ティエリア、怒ったの?」と頭を抱えるアレルヤ。
「当たり前だろう!俺の動きがき・・・、綺麗だとか、変なこと言うのはよせ!」
「ごめん。怒らないで。悪気はないんだ。・・・気を悪くした?」
「当たり前だ!」
怒られているはずなのに、アレルヤはしっかりティエリアの二の腕に両手を置き、優しい目で顔をのぞき込む。
顔を真っ赤にし、うつむきながら、ばかだあほだと懸命にののしっているティエリア。
でも
(ティエリア、とても嬉しそうだ)
「大丈夫だよ、ティエリア。君は姿形もとっても綺麗だから」
最終兵器投下。
アレルヤの体が宙を舞った。
end
「うっわー、こりゃひどい。モロじゃないか。やばいぞこれ」
とロックオン。
「丸見えですねこれ、ショックだなあ・・・刹那、大丈夫?」
とは、アレルヤ。
「こんな醜態をさらすなんて、やっぱり君はマイスターにふさわしくない」
とティエリア。真っ赤になってにらみ返す刹那と視線が絡み火花が散った。
戦いすんで夜が明けて
「ちょっといいかげんにして!今はデブリーフィング(作戦結果報告)の時間なんだから!!!」
スメラギの声に、全員がスクリーンに振り返った。
「もう、あなたたち、真剣にやる気あるの?」
「ありますよーやる気満々。刹那のためだかんな」
「ガンダムのためだ。一個人のためじゃない」
「・・・」スメラギはこぶしを握りしめた。
ここはガンダムの地上における主な潜伏場所である無人島に設置されたコンテナ。その一角のブリーフィングルームに、ガンダムマイスターは顔をそろえていた。
長方形の部屋で、壁一面がフルスクリーンとなっており、今そこには2つの画像が表示されている。スメラギの顔と、昨日モラリアのミッションで刹那が対峙した、AEUの新型モビルスーツとの戦闘データである。
刹那がコックピットを開放して自分をさらけ出す暴挙に出た相手だ。
そのことは別問題として、今後のミッションのため、全員のデータを検証しているところだった。
問題になるのは、やはりエクシアのデータ。
砲撃のヴァーチェ、射撃のデュナメス、空中戦のキュリオスに比して、白兵戦仕様のエクシアは、接近戦がメインとなるモビルスーツ戦ではいきおい戦いの中心となり、敵との遭遇率も高い。
現にこれまでにも、ユニオンの新型フラッグと手合わせしており、セイロン島でも、人革連の、量産型ながら明らかに技量の高いパイロットが、エクシアと対峙している。
(つまりエクシアが相手側に墜ちる可能性が最も高いってわけで・・・そういう意味でいくとティエリアの言う不安要素ってのも一理あるんだよな)
ロックオンは、厳しい目でスクリーンをにらんだ。
そこには先ほど走らせたエクシアのデータがリピートされており、明らかにAEUの新型に動きを読まれ切って翻弄されている様子が映し出されている。
(にしても、これはすごいぞ)
AEUの新型は、刹那が間断なく繰り出す技にかすりもしない。
新型とてガンダムの性能には及ぶべくもないはずなのに、機体差を敵パイロットの腕が凌駕しており、明らかに刹那が押されていた。
「こりゃあ、刹那の動きがモロだなあ」
「モロっていうな!」
「丸見えですよ。丸裸です」
「丸見え言うな!」
「こんな醜態さらして・・・」
「いいかげんにしろーーーーーーーーーーー!!!!!」
はあはあ、と肩で息する刹那を、しれっと見やる3人。刹那は荒い息で
「さっきから聞いていればなんだ!も・・・、モロだの、丸見えだの、醜態だの・・・」
「えー、だってなあ」
「ねえ」
とロックオンとアレルヤが顔を見合わせて頷く。仲がいいのだこの二人は。刹那は面白くない。
二人をひっぺがしてやる!と進み出たとき、
「事実丸見えだから仕方ない。君の責任だ。刹那・F・セイエイ」
と、とどめの一撃が刺さってきた。
ぎぎぎ・・・と振り向くと、美貌の天使様が口の端に嫌な笑みを貼り付け
「ガキがムキになっているのが丸わかりなんだよ。モロに、ね」
右手の平を上に向けて、くいくい、と「カモーン」のゼスチャー。
かーん、とゴングがなった。
「だあああああああああああああああああああーーーーーーーーーっやめなさい!!!」
スメラギの一喝が飛ぶ。両手のひらをがっしり組んで押し合いっこしていた刹那とティエリアに、ごんごん!とげんこつをお見舞いして、ロックオンが素早くスクリーンに向き直った。
「それじゃ続きを。ミス・スメラギ」
「痛いじゃないかロックオン」
「あなたは手加減てものを知らないんですか、まったく・・・」
ばきゃ!
スクリーンの向こうで、壁がぽろ・・・と崩れ落ちるのが映し出される。
壁にはスメラギの手がめりこんでいた。
「それでなんなのよ。その丸見え・・・いえ、その、刹那の動きが読まれているっていうのは」
ようやく再開、まともなデブリーフィングが始まった。
刹那が視線を落とす。説明するということは、アリー・アル・サーシェスに言及しないわけにはいかないからだ。
(ロックオンに・・・知られたくない)
AEU新型のパイロット・・・アリー・アル・サーシェスは、刹那を子ども兵として徴用し、軍事訓練を施した男だ。
今刹那をエクシアたらしめる白兵戦の技術は、ほとんどこの男にたたきこまれたと言っていい。
体さばき、足さばきなどの白兵戦の基本やフェイントなどの技術はもとより、ナイフ戦、銃撃戦、地雷やトラップの仕掛け方。また子どもであることを利用して相手にすきを作るやりかたも教わった。
人間の体の仕組みも教わった。
いちばん最初に。「・・・を撃てば一発で死ぬから」と、手ずから銃をわたされて。
おまえの家族を殺してこい。聖戦のために、と。
「刹那は素直なんですよ」
はっと刹那は覚醒する。意識が飛んでいる間に、話が進んでいた。
「どういうこと?ロックオン」
およそそれとはほど遠いと思われる少年に対する「素直」という形容に、スメラギは眉をひそめた。
ロックオンは
「俺たちモビルスーツ乗りには分かる感覚なんだけど、同じ機体を使っていても同じ動きにならないんですよ。動かすのは人間なんだから、AIがコントロールしててもどうしても動きの選択にそいつのキャラが出る。刹那は若いし素直だから、姑息な動きが苦手だし感情が見えやすい。ガンダムの性能が特別だから普通の相手ならどうってことなくても、こいつ」と言いスクリーンを指し「みたいなヤツにかかったら、刹那のキャラがモロ見えになるってわけ」
と説明する。
「???」
「慣れればわかるようになりますよ。あ、こいつ若いなとか、練れた動きしてるから中堅クラスかな、とか頭に血がのぼってるとか」とはアレルヤ。
「??????」
ロックオンが再び説明を試みる。
「車の運転と同じです。車を運転する人ならわかるけど、客観的にドラテクを見てみると、そいつ個人のクセがあるでしょう」
「そんなもの?」
スメラギも車の運転くらいはするはずだが、ピンとこないらしい。
「道路走っているときを思い出せばいい。自分の前に走る車をよく観察する。そうすると、コース取り、ウインカーの出し方、ブレーキ位置やそのかけ方のタイミングなんかで、そのドライバーの人間性とかコンディションみたいなのがなんとなくわかる」
「ふーん」
「ふーんてちょっと・・・。なんって説明すりゃいいのかなあ」
とロックオンは頭を掻いた。
「つまり、よっぱらいは酩酊しているから運転がふらふら危なっかしいし、暴走族は粗暴だからテクもないのにタイヤきしませてこれみよがしに走る。おかかえ運転手はプロだから丁寧に無駄なく走り、滑るように停車できるから水もこぼさない。そんな感じです」
目指したものから若干ズレれたようなそうでもないようなアレルヤの説明に納得したらしく「ああ!わかったわ~」と喜ぶスメラギ。一体俺はなんだったんだよ・・・と落ち込むロックオンの肩をアレルヤがぽんぽんとたたいた。
「・・・!」
思わず刹那は背を向ける。最近とみに二人の仲がいい。気のおけない対等の関係に見える。二人がわかりあっているのが
(すごく、くやしい・・・。嫌だ。ロックオン・・・)
自分が嫉妬している自覚は十分にあった。
「つまり感情を制御しきれてないわけだ」
ティエリアの声が冷たく響いた。
「修行が足りないな。やはりマイスターとしては不適格だ」
「ティエリア、また・・・。今はそれより検証だろ?」
刹那をかばうアレルヤと隣のロックオンをにらみ、忌々しげにスクリーンに目をやるティエリア。しかし刹那はちょっとした違和感に気づいていた。
アレルヤとロックオンをにらむ目が
(俺に、似ていた・・・)
ティエリアの横顔を凝視するが、彼の目はスクリーンに固定されたままで、それ以上は何も見えてこない。
あれも、嫉妬なのだろうか。
だったら一体誰に?
戦いが再現される。
正面からの刃を受け止められ、機体が離れる。再度一直線に切り込もうとする刹那の機体を円運動でさらりとかわす敵に、エクシアが一拍おいて向き直り、手に持った得物を捨ててビームサーベルで切り込む。相手にとって未知数である武器に違いないのに、まるで何度も経験したかのように、ぎりぎりの間合いでもってかわされる。
エクシアの右手が次の得物を求めて・・・。
「ほら、ここ。右手の動き」
アレルヤが指摘する。
エクシアの右手が動くとき、一瞬“止め”が入り、勢いをつけて得物を取る。また一拍ためて、すばやく相手の懐へ。
「これって刹那のくせだよね。すごくわかりやすい。僕たぶん刹那がほかのモビルスーツに乗っていても、刹那だって分かるよ。一見メリハリあるけど、こう、ちょっとヒーローぽく見せるためのおおげさな動きっていうか・・・」
あらためて指摘されよく見ていると、まさにアレルヤの言うとおりで黙るしかなかった。
それにこのくせは・・・
「あ・・・あれ?」
そこに映るのはAEUのモビルスーツ。得物を求めて右手を動かす場面で。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
マイスター4人が黙り込む。
スピードこそ違えど、刹那と同じ動きがそこに映し出されていた。
沈黙を破ったのはスメラギだった。
「え・・・なに。どういうことなの?説明して」
「・・・」
あの映像から導き出される結論。
あのパイロットが刹那に戦い方を教えたのだということ。
刹那があのくせを意識的に真似ていたということ。
おそらくは、憧憬をもって。
せり上がる何かが、声を止めていた。のどの奥が熱い。
これから話すことを、聞かれたくなかった。聞かれたら、俺たちはどうなってしまうんだろう。ロックオン。
刹那の肩に手が置かれた。
「つまり、刹那の動きをモビルスーツととフィジカルの両面から改善すれば、問題が解決するってことです」
刹那の肩を力強く掴みながら、ロックオンが続けた。
「モビルスーツの動きは俺たちでサポートするから、ラッセに言って、刹那のフィジカルトレーニングのメニューを組み直してください。戦闘のクセを洗い出して、もっと洗練する必要がある」
「ああ、そういうことね。それじゃいっそのことカンフーでもマスターしたらいいんじゃない?攻撃パターン変わるわよ」
「相手がすんごい使い手だったら?次はカラテでもさせてみます?」
「それもそうね。今までの動きを基本に、ラッセにみてもらいましょう」と笑う。
「ところでメンタルのほうはどうするのよ」
「それは大丈夫」
アレルヤが請け負い、刹那と彼に寄り添うロックオンを指す。スメラギが「あー、そういうこと」とうんざりした様子で手を振った。
「若いのも困りものね。まあ、だからこそヴェーダが刹那をエクシアに乗せたんだろうけど」
え、と刹那は顔を上げる。ティエリアの眉が跳ねた。
「とっくみあいのケンカは無鉄砲で負けん気がある方が勝つんでしょ?刹那にぴったりだものね」
「ちがいない」
笑い出すアレルヤ。傍らを見上げると、優しく笑うロックオンと目があった。
刹那は急に目が熱くなり、慌てて下を向く。
どの男にそんな事聞いたの、とロックオンがつっこみ、スメラギがないしょだと答える。
場の雰囲気が和やかになった。
「でも洗練された動きっていうなら、もっと適切なモデルが近くにいるよ、刹那」
「え?」
「誰のことよ」
その場にいた一同が首をかしげる中、
「ティエリアのことですよ。モビルスーツでも生身でも、動きがとても洗練されて優雅だし、綺麗で無駄がないから」
「!!!」
アレルヤの爆弾発言に、一同が固まった。
「最初のミッションなんてすごかったなあ~。全然動きに迷いがなくて。デブリをよけるときも減速一切なしで、最短距離を滑っていくんですよ。漆黒の宇宙にひとすじの線がすっと描かれていって、それが静謐で一枚の絵みたいに見えて・・・」
「その口を閉じろ!!!」
ごん!
痛い。これは痛い。刹那とロックオンはおもわず互いにしがみついた。
「・・・った~、ティエリア、怒ったの?」と頭を抱えるアレルヤ。
「当たり前だろう!俺の動きがき・・・、綺麗だとか、変なこと言うのはよせ!」
「ごめん。怒らないで。悪気はないんだ。・・・気を悪くした?」
「当たり前だ!」
怒られているはずなのに、アレルヤはしっかりティエリアの二の腕に両手を置き、優しい目で顔をのぞき込む。
顔を真っ赤にし、うつむきながら、ばかだあほだと懸命にののしっているティエリア。
でも
(ティエリア、とても嬉しそうだ)
「大丈夫だよ、ティエリア。君は姿形もとっても綺麗だから」
最終兵器投下。
アレルヤの体が宙を舞った。
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