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00の世界を借りて、いろいろ書き散らしています
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シリーズ第2段。
どこの少女漫画!というアレティエ。
二人はできてません。



TOKYO DAYS 02



TOKYO DAYS 02





 刹那のマンションで、ロックオンとアレルヤお手製の夕食をたらふく食べた後、アレルヤ、ティエリアの両名はホテルに引き上げることにした。
 泊まるスペースは十分にあったが、あらかじめ二人で話し合ってホテルをとってあった。いくら寛容なアレルヤでも、あの二人の会話もとい睦言を一晩中聞かされるのはごめんだ。
「あの生ぬるい微妙で変態じみた会話を一晩中聞かされるくらいなら野宿でもかまわん(以上原文のまま)」とはティエリアの弁だ。異論はない。
 

 
 東京の夜道を二人で歩く。
 東京は極東におけるユニオンの経済特区だ。ユニオンのアジア地域における重要拠点でもある。
 南北アメリカ大陸を中心とするユニオンから遠く太平洋を隔てた島国、日本はユニオンの経済特区東京を抱えて繁栄している。
 基本的に軌道エレベーターを中心として地理的に近い国家群が形成されている中、人革連サイドに近いこの島国が遠くユニオンサイドに属しているのは、300年以上前の戦争で日本がアメリカに敗戦して以来の力関係によるものだ。
 たゆまぬ技術革新と有能な人材を輩出するこの国は、300年前の戦争以後戦地になったことがない。通行人は皆、地球のどこかで常に起きている戦争のことなどないかのように平和そうだ。
 もっとも、前述の地理的要因のおかげで、目と鼻の先である人革連サイドとのトラブルは、国民の見えないところで散発的に発生している。現在の国家群形成期には、その所属をめぐりあわや焦土と化すや、という場面もあったらしい、いわば隠れた最前線だ。ソレスタル・ビーイングとしてはその動向を常にチェックしている地域でもある。
 スメラギが、機体の発見されるリスクを冒してまで刹那とエクシアを東京に配置した理由はそこにあった。
 



 そんなキナくさいことはさておき、雨に洗われた初冬の夜風は清浄でほどよい湿り気を含み、歩く二人の髪とコートを揺らしている。
 ピンと冷たい空気に白い息が溶ける。宇宙では味わえない清涼感だった。 
「気持ちいいねえ」
 風に目を細めてアレルヤは問うが、相方はこちらを一瞥して、視線を逸らせてしまった。

(機嫌が悪いなあ)
 
 先刻刹那の部屋を訪れるまでは、珍しく朝から機嫌が良かった。
 二人でホテルにチェックインしたときには、どちらのベッドを使うのか聞いてくれたし、窓から東京の町並を眺めていた横顔が、心なしか嬉しそうだった。
 いつもならにべもなく拒否するだろう刹那のための荷物を「一つもってやろう」と言い自分たちを驚かせもした。
もっとも一番軽いケーキの入った袋だけだったから、それはティエリアの好みがそうさせたのかもしれないが。


 なのに、刹那の部屋に行ってから、ずっと機嫌が悪い。
 夕食のときもずっと沈黙したままだったし、今だって、どんどん先に行ってしまう。
 まるで一人で歩いているかのようだ。
 せっかく二人きりなのだから、もっと話したいのに。
 背中を見つめて、アレルヤはため息をついた。


 
「満足か」
 人気の無い公園に入ったところで突然沈黙が破られた。
「え」
「仕事を投げ出して人助けして、その相手に礼を言ってもらって満足か、と聞いている」
 それは夕方、刹那の部屋の前で沙慈・クロスロードという少年との一こまであり、ほんの数分のできごと。
 例のコロニー事故の被害者だった沙慈が、本人相手だと知らぬまま、アレルヤの声を代理に感謝の意を述べたものだったが
(やっぱりこだわっていたんだ)
 君にはガンダムマイスターの資格がない、とまで面と向かって言い切ってくれた彼だ。想定外の人命救助のことを想起して不機嫌になった、ということか。
(とっくに終わったことなのに、意外とこだわるんだよなあ)
と、まじまじとティエリアの顔を見る。すべてを理屈と計算で割り切るタイプに見えるのに、意外とがんこでこだわり派だ。
 同じ男に対して失礼だと思うが、
(かわいいよなあ)
と、おもわずほおがゆるんだ。 


「笑うところか」
と指摘が入る。ごめん、とわびを言った。
「正直に、嬉しかったよ。あの子が助かって、本当によかった」
「君は!」
「僕は後悔していない」
 パシッとほおを打つ音が夜道に響いた。
 左ほおが熱いが、驚きでそんなことは気にもならなかった。ティエリアが、こんなに感情をあらわにして怒ることなんてめったにない。
 普段は感情を(ほぼ)完璧にコントロールしているというのに、なぜだか今日はそれがうまくいかないようだった。
(機嫌のいいところとか怒るところとか、今日は新しいティエリアをいっぱい見てる)
 叩かれたというのに、心が浮き立っていた。

 暗い夜道、白い上気した肌、赤く燃える目、形の良いくちびる、闇にとける吐息。
 この世界で彼だけが浮き上がって見える。
  
「俺たちには、大事な仕事がある。なすべき事が。失敗は許されない。分かっているはずだ!」
 人気がないとはいえここは町の中で、誰が聞くとも限らず、ティエリアはさきほどからあたりさわりのない言葉を選んで話している。それじゃ怒りづらいだろうな、とアレルヤは考えた。
「分かってる。大丈夫だよティエリア。だからその話はホテルで・・・」
「わかってない!!」
 どん!と両手のこぶしで胸を叩かれる。ティエリアはどうにも感情を制御できないようだった。ほんとうに今日はどうしたのだろう。
 体温が上がっているのか、蒸発した汗と髪のにおいが鼻をくすぐる。アレルヤは自分の心臓がドクンと跳ねるのが分かった。
「わかってないだろ。状況を調査分析して、最も確実な方法を取るんだ。それが大事なんだろ、アレルヤ・ハプティズム!」
「そうだね・・・」
 綺麗な顔が近い。くちびるばかりに目がいきそうになる。必死に目を逸らしたのに、両手で顔をぐいっと掴まれ正面を向かされた。
「いいか、計画通りにするから、成功率があがる。それを突然あんなこと・・・もし君の身になにかあったら、どう・・・っ!?」
 ティエリアははっと言葉を切った。アレルヤは呆然として、ティエリアを見つめる。二人の視線が絡み合った。
 沈黙。
 


 
「もういい」
「待って、ティエリア!」
 歩き去ろうとしたティエリアの腕をぱし、とつかみ、振り向かせる。はなせとともがく彼の両腕を掴み、ひたと見据えた。
「心配してくれたんだ」
「・・・・・・っ」
「ありがとティエリア。うれしいよ」
「心配なんてしてない」
「僕の身になにかあったらって言ったよね。うれし・・・」

 ばこっ!
 あごに見事なアッパーカットが決まり、派手にひっくり返った。バシャン!と水たまりに勢いよくつっこみ、ついでに一回転する。
「ふっざけるな!俺は君のことなんてどうでもいいんだ!どうでも!!大事なのはガ・・・機械の方だっっっ!!!!!」
 全速力で駆けていくティエリアを、水たまりに尻餅をついたまま呆然と見送りながら
「あっぶない。舌噛むところだった」
とのんきにつぶやくアレルヤだったが、やがてクスリと笑うと、よっこらせ、と立ち上がった。
「あーあ、びしょぬれだよ。どーすんのこれ」
 髪を後ろへなでつけ水気を払いながら笑う。たまたま通りがかった不幸な通行人が、触らぬ神にたたりなしといわんばかりに避けて通っていった。
  
 
 逃げちゃった。
 どうせ同じホテルの同じ部屋なんだけど。
 

 笑いを精一杯こらえながら、アレルヤはホテルを目指して歩き出した。




end

 

 

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