00の世界を借りて、いろいろ書き散らしています
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19話派生です。
ありがちアレティエ
きっと同ネタ多数と思いますが、どうか萌え処が一緒だと思ってください。
他サイト様でアレルヤハブられ~っていうのが多かったので、アレルヤを救済してみました。
ちゃんとフォローできているかな・・・・・・?
drop
drop
アイリス社の工場をトリニティが襲撃し、民間人800人余りが犠牲になった。
それに続く刹那出撃の報を受けて、ブリッジが騒然とする。何が映っているわけでもないのに正面のスクリーンをにらみつけ、腕組みをしたスメラギさんがぎりりとつめを噛んだ。
視界の端で紫色が揺れる。僕の横に立っていたティエリアが動いた。無言でブリッジを出て行く音を背後に聞きながら、僕は苦笑してため息をついた。
「スメラギさん」
何?と振り向く彼女に
「ヴァーチェの発進準備、お願いします」
と言い残し僕もブリッジを出る。「何言っちゃってんのー?」とリヒテンダールの声が僕の背中を追いかけるけど、無視して僕はティエリアの後を追った。
「ティエリア!」
気が急いていたのかティエリアの移動は存外早く、彼を捕まえられたのはヴァーチェのコンテナの前だった。腕を掴み振り向かせると、赤い瞳が僕を射抜き、手を勢いよく振り払われた。とがった声でティエリアが言う。
「止めるな。アレルヤ」
「誰が止めるって?」と笑うと「違うのか?」と目を丸くされた。
「君は行くんだろ?どうして僕が止めるの」
「命令にない行為だからな」
命令違反の前科者である僕にそれを言うかな。
「君にとっては矛盾ないんだろ。だったら止める何物もないよ。むしろ推奨」と僕は肩をすくめた。
普段は命令どおりに動くことを至上命題とするくせに、今やティエリアの顔はさっぱりしたものだ。トリニティ3人をガンダムマイスターとしてふさわしくないと断定して、自分のすべきことをしようとしている。
僕だって、一連の彼らの行動に憤慨していたわけだし、止める理由はない。
「君は行かないのか」とティエリアが問う。
「行かないよ」
「何故だ」
君も行きたいのだろうと言うティエリアに、そりゃ僕だってそうしたいさと返す。
けどね。
トリニティが現れてから、僕はずっと考えてきた。少なすぎる情報、疑似太陽炉を持つガンダム。
何よりもヴェーダのハッキングの可能性。
組織そのものであると言っていい量子コンピュータの被害。事態は混乱していくだろう。
それにトリニティ。同じガンダムマイスターだとうそぶきながら、彼らの行動には僕たちとは違うものを感じる。彼らの非道なやり方も許せない。そりゃ僕らが正義とは決して言わないけれど。
いずれティエリアが動くだろう事も、何となく予想はついていた。
今刹那はトリニティに刃を向け、ティエリアも彼らを裁きに行く。ロックオンも同調するだろう。
この状況で、僕のやるべきことはひとつ。
「僕はトレミーを守るよ。行きたい気持ちは山々だけどね。それが僕の今の仕事」
「それでいいのか」
「ストライカーばかりじゃサッカーはできないよ。僕は僕、君は君のすべきことをすればいい。はい、これ」
彼の手を取り、わざわざここまで来た目的の物を渡す。
飴を3粒。
「これは何だ」
顔をしかめて彼が問うので「飴」と言ったら毛を逆立ててにらみつけてきた。
「甘いものでもなめて、冷静にね。あと刹那とロックオンによろしく」
そう言って、僕は飴をひとつ剥いて自分の口に放り込む。高ぶっているときに甘いものをとると気分が落ち着く。
疑似太陽炉だからって相手はガンダムだ。ティエリアには平常心で戦って欲しかった。
「僕はブリッジに戻るよ。それじゃ」
「アレルヤ!」
ブリッジに引き返そうとする僕を、ティエリアが呼び止める。振り向きざまに彼の顔が近づき、一瞬後には唇をふさがれていた。
彼の左手が僕の後頭部を押さえ、舌が僕の中に滑り込んでくる。僕も応えて、舌をからめあった。
飴が僕たちの間を行き来する。僕は夢中でティエリアの舌と飴をむさぼった。
ややあって、唇が離れた。
小さくなった飴をのせた舌をいたずらっぽく覗かせ、
「これももらっておく」
そう言い残し、ティエリアが身を翻して滑るようにヴァーチェのコンテナに飛び込んでいく。
ヘルメットを被りつつ「トレミーのことは頼んだ」という彼に「任された」と笑顔で返す。ドアが閉まり、気密隔壁のランプが赤になった。
ブリッジに僕が戻ると、ちょうどヴァーチェの発進シークエンスの最中だった。スメラギさんが僕に振り向き、苦笑いをしてみせる。事前にちゃっかりヴァーチェのコンテナを発進位置に移動してあった彼女の采配に、これだから戦術予報士は油断ならないという意味の笑いを返して、僕はティエリアの発進を見守った。
end
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