00の世界を借りて、いろいろ書き散らしています
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拍手連載第2話です。1話は下の記事に掲載しました。
拍手には現在これの3,4話を掲載しています。
全6話構成です。
本編とは別世界です。
これ書いたのは9話放送後でした。当時は、TV本編第8話から9話の間の4ヶ月間を想定していたという。以前書いた「戦いすんで夜が明けて」の後日談のつもりでした。
ガンダムはそういえば雨の中で戦ったの見たことないな、とか、ヴァーチェ接近戦苦手そうだなとか、がんばって戦うティエリア様が見たいなとか、今となっては捏造はなはだしいのですが、当時の管理人の妄想の結果です。
小鳥たちは巣から離れ 02
小鳥たちは巣から離れ 02
「あの・・・ガキがっ!!」
上から繰り出されたイナクトの刃を受け止め、ティエリアが毒づいた。
イナクトのブレードとGNバズーカの砲身とが鍔迫り合いになる。通常、遠距離砲撃型のヴァーチェが接近戦に持ち込まれることはほとんど無い。ティエリアは慣れないうえに明らかに接近戦向きではない機体を駆使し、善戦していたが、押されている感は否めなかった。
急降下したキュリオスがイナクトめがけて弾丸をたたき込んだ。すばやくイナクトが離れ、弾丸がむなしく地面を叩く。絶対、必中の確信があったのだろう。腹いせに「ちょこまかと!!」とアレルヤのなじる声が、通信オンにしてあるモニターから聞こえた。
(熱くなるな。アレルヤ)と、心中で声をかける。戦闘中に口を開くことは苦手だ。
もっとも、たった今自分でも刹那に毒づいたばかりだ。あのガキが最初から敵パイロット―――アリー・アル・サーシェス―――のことを明らかにしていれば、もう少し余裕を持って戦うことができた。子どもを甘やかすからだ。忌々しい。
取り急ぎ王留美から取り寄せたサーシェスの戦歴データは驚愕ものだった。そこにはクルジスにおけるこども兵の養成なんて経歴も書かれていたが、そんなことはどうでもいい。
むしろ戦闘経験が問題だ。プロの傭兵集団のトップというだけでも穏やかではない上に、たたき上げの本物の職人。シミュレーションで訓練を重ね、実戦経験の少ない自分たちとは差がありすぎる。機体の性能差におぼれて、人間がその身体にたたきこみ、積み上げてきた経験値を軽視するほど、愚かじゃない。
しかもデータが手に入ったのはミッション直前。シミュレーションをする時間はなかった。ヴェーダはすべての要素を計算した上でアレルヤとティエリアにゴーサインを出し、二人は今のミッションに突入した。
こういう接近戦は、刹那の領分だろう、と考える。モラリアのミッション後、刹那はサーシェスを越えようと訓練を積んでおり、その努力と成果は、一応ティエリアも認めているところだった。
(だがあいつは、結局、ガキなんだ)
俺が行く、と刹那は言ったが、ヴェーダとスメラギがそれを許さなかった。ヴェーダがミッション遂行に難ありと判断したのだ。戦闘前のメンタルチェックで不可とされてしまえば、そのためにこれまで訓練していようと何だろうと、我を押し通すことはできない。刹那はトレミーで待機、ロックオンはトレミーの守り。妥当な布陣だった。
自分は刹那のような醜態をさらしはしない。準備の少なさは否めないが、緊急のミッションにはありがちなこと。いつも通り淡々とこなせばいい。そう考えていた。
が、今はその自分にまで毒づきたくなる。あの砂浜で、深く追求することもなく刹那を排除しようとしたことも含め、返す返すも甘かったと。
(「動かすのは結局人間」、か)
いつかのロックオンの言葉を反芻しながらヴァーチェの体勢を安定させ、GNバズーカとキャノンを構える。軸線上にイナクトが乗るタイミングで、斉射。
すさまじいビームが敵機を跡形もなく消滅させる・・・はずだったが、イナクトはまったくべつの空間に移動しており、ビームはむなしく雨雲に穴を開け、青空を垣間見せるに留まった。再び雨雲が空を塗りつぶす。先刻から何度も繰り返している光景だった。
to be continued
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