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00の世界を借りて、いろいろ書き散らしています
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 拍手に上げていた連載小説 第1話です。

 

 小鳥たちは巣から離れ 01

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 雨は空にある水をすべて落とし切ってしまおうとするかのように間断なく降り注ぎ、空は未だ水をたくわえて灰色のぶ厚い雲に押し込めていた。荒涼とした岩肌は濡れ、岩の間を雨でできた小さな川が心細く流れていく。
 突然、轟音とともに飛行物体が雨を切り裂いた。
 PMCのカスタムイナクト。
 その後を更に一機が追う。オレンジとホワイトを基調としたシャープなフォルム。
 ガンダムキュリオス。私設武装組織ソレスタル・ビーイングが所有する機動兵器。
 それを地上から見上げながら、もう一機のガンダム、ヴァーチェのコックピットで、ティエリア・アーデが舌打ちした。



 小鳥たちは巣から離れ 01



 ここはAEUに属する国家、モラリアの山岳地帯。
 岩ばかりの荒涼とした風景。うっとうしい雨が降り続くその殺伐とした風景に、更に剣呑さを加えているのは、キュリオス、ヴァーチェ、そしてカスタムイナクトの3機だった。
 数ばかり優位とはいえ、ガンダム側の戦況ははかばかしくなかった。たかだか1機のモビルスーツ。通常の戦闘なら瞬殺ものだが、今回は敵パイロットの腕がべらぼうに高く、ガンダムとの機体差を軽く凌駕している。
 ガンダムが翻弄される。その屈辱的な展開に、若い2人は冷静さを削られ、それが動きの迷いとなり、泥沼にはまりこむ。
 結果、もう1時間にわたり、ガンダム2機がかりでイナクト1機を屠ることができないでいた。


 そもそもこれは、先日たたきつぶしたはずのモラリアの民間軍事会社PMCが、これを機会にひそかに生産ラインを一新させて、新型モビルスーツ、イナクトの大量増産に乗り出した、という非公式情報の確認と、事実であればそれを撃つべし、という2段構えのミッションだった。王留美のエージェントに諜報活動を任せているものの、事実が判明次第、即刻目標を殲滅、そのため前進待機せよとヴェーダ。スメラギとマイスターたちは直ちにブリーフィングに入った。
 ただし――――
「ただし、これはフェイクの可能性が高いでしょうね。PMCが今一番欲しいのは、ガンダムよ」
 スメラギの予測を聞かなくても、そのくらいは想定内だ。ガンダムを手に入れられれば、世界の兵器勢力図は一気に塗り替えられる。先の戦闘でエクシアをろ獲しようとしたカスタムイナクトのことを考えても、妥当な判断だった。今回もそいつが出てくる可能性は高い。
 わざわざ敵の掌中に飛び込むこともないんだけどね、とスメラギが言ったが、
「あのイナクトは、脅威になる」
と言葉を放ったティエリアに実行部隊一同は頷く。枕詞は「今つぶしてしまわなければ」だ。
「・・・刹那、イナクトのパイロットのことだが」
 真剣味を帯びたロックオンの問いに、刹那の瞳が揺れる。
 先日のデブリーフィングで曖昧になった、アリー・アル・サーシェスのことを、説明しなくてはならない。あのときはロックオンやスメラギが保留にしてくれたが、もうこれで限界だった。
 戦闘にあたっては、可能な限り相手の情報を詳細に分析して、対策を練らなければならない。充分な作戦シミュレーションも必要だ。でなければ、ミッションは失敗する。待ちかまえているのは死だ。
 私情は禁物。持てる情報はすべて開示共有。プロの武装組織としては当然のそれを、前回まるで子供のかくしごとのようになあなあにさせてしまったつけを、今払わなくてはならない。
 刹那は覚悟を決めて口を開いた。






to be continued

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