00の世界を借りて、いろいろ書き散らしています
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拍手に挙げていた小説です。
小鳥たちは巣から離れ 03
小鳥たちは巣から離れ 03
小鳥たちは巣から離れ 03
「ティエリア気をつけて。ねらいは君だ!」
「わかっている!しゃべるな」
イナクトがガンダムのろ獲を目的としているのは分かり切っていた。でなければしつこく単騎で戦ったりしない。腕にものをいわせてあしらい、こちらが疲弊したところを他のお仲間が登場する筋書きだろうと見当をつける。
アレルヤの言うとおり、敵は明らかにヴァーチェにねらいをつけていた。キュリオスやエクシアに比べ、鈍重そうで機動性に劣るように見えるからだろう。
「嘗めたまねを!」
イナクトはキュリオスを翻弄しつつ、再び上空からヴァーチェに鍔迫り合いをしかけてきた。ブレードのぶつかる衝撃音が響く。いつまでも同じパターンでいくと思うなよ、と、推進力を最大に上げた。
既存のモビルスーツが束になってもかなわないパワーを見せつけて、そのままイナクトの背後に控える崖の岩肌にぶち当ててやると決める。崖は先へ行くほど狭隘になり、ちょうどV字を逆さにしたようないきどまりの地形だ。
イナクトはバーニアを白熱させ正面からフルパワーで押してくる。けっこうな力だ。だがまだまだこっちに分がある。ティエリアは口の端を笑みの形に歪め、レバーを押し出しフットペダルをがん!とつぶすように踏み込んだ。力の均衡が破れ、ヴァーチェがイナクトを押したまま崖に突進する。崖にぶち当たって、一瞬後に圧壊、機動停止。そこで終わりだ。
崖まであと500メートル弱に迫った瞬間、鍔迫り合っていた刃を支点にして、イナクトが地面を蹴り、機体を浮き上がらせた。ちょうどふわりとさかだちをした形になる。そのままひらりと滑るようにヴァーチェの後ろに流れた。
「くっそ!」
と顔に似合わない悪態をつく。ヴァーチェだけが勢いをつけて崖に突進していった。
崖に激突すれば、機体が無事でも自分が衝撃でただではすまない。ティエリアは全身のバネをつかってレバーを引きフットペダルを操作し、機体の推進方向を無理矢理変え、地表をスケート選手がブレーキをかけるかの様に滑らせ、制動をかけた。無理な動きのせいで激しいGがかかり、身体が左右に激しく揺さぶられ、骨がきしんだ。
軽くめまいを起こしていたティエリアが首を振り、状況を確認すると、現在地は崖の壁まで100メートルを切る渓谷のどんづまり、V字のつきあたりだった。激突は避けられたようだと息をつく。「キュリオスは・・・」肉眼で見えるわけでもないのに、上空に目をやった。
上空ではキュリオスがめまぐるしくイナクトと戦闘を続けていた。飛行形態でのミサイル攻撃。その弾幕を抜ければMS形態にチェンジしつつGNサブマシンガンを連続砲火・・・。めまぐるしく飛び続け、激しい動きを繰り返すアレルヤの身体には、先ほどの自分と比較にもならない、相当のGがかかっているだろうが、ペースを乱すこともなく、善戦していた。
(俺だったらもたないな)
アレルヤのよく鍛え上げられた身体を思い出す。機体の特性と役割をよく理解していたからこそ、アレルヤは人一倍日々のトレーニングを自分に課していたのだったが・・・。
to be continued
「ティエリア気をつけて。ねらいは君だ!」
「わかっている!しゃべるな」
イナクトがガンダムのろ獲を目的としているのは分かり切っていた。でなければしつこく単騎で戦ったりしない。腕にものをいわせてあしらい、こちらが疲弊したところを他のお仲間が登場する筋書きだろうと見当をつける。
アレルヤの言うとおり、敵は明らかにヴァーチェにねらいをつけていた。キュリオスやエクシアに比べ、鈍重そうで機動性に劣るように見えるからだろう。
「嘗めたまねを!」
イナクトはキュリオスを翻弄しつつ、再び上空からヴァーチェに鍔迫り合いをしかけてきた。ブレードのぶつかる衝撃音が響く。いつまでも同じパターンでいくと思うなよ、と、推進力を最大に上げた。
既存のモビルスーツが束になってもかなわないパワーを見せつけて、そのままイナクトの背後に控える崖の岩肌にぶち当ててやると決める。崖は先へ行くほど狭隘になり、ちょうどV字を逆さにしたようないきどまりの地形だ。
イナクトはバーニアを白熱させ正面からフルパワーで押してくる。けっこうな力だ。だがまだまだこっちに分がある。ティエリアは口の端を笑みの形に歪め、レバーを押し出しフットペダルをがん!とつぶすように踏み込んだ。力の均衡が破れ、ヴァーチェがイナクトを押したまま崖に突進する。崖にぶち当たって、一瞬後に圧壊、機動停止。そこで終わりだ。
崖まであと500メートル弱に迫った瞬間、鍔迫り合っていた刃を支点にして、イナクトが地面を蹴り、機体を浮き上がらせた。ちょうどふわりとさかだちをした形になる。そのままひらりと滑るようにヴァーチェの後ろに流れた。
「くっそ!」
と顔に似合わない悪態をつく。ヴァーチェだけが勢いをつけて崖に突進していった。
崖に激突すれば、機体が無事でも自分が衝撃でただではすまない。ティエリアは全身のバネをつかってレバーを引きフットペダルを操作し、機体の推進方向を無理矢理変え、地表をスケート選手がブレーキをかけるかの様に滑らせ、制動をかけた。無理な動きのせいで激しいGがかかり、身体が左右に激しく揺さぶられ、骨がきしんだ。
軽くめまいを起こしていたティエリアが首を振り、状況を確認すると、現在地は崖の壁まで100メートルを切る渓谷のどんづまり、V字のつきあたりだった。激突は避けられたようだと息をつく。「キュリオスは・・・」肉眼で見えるわけでもないのに、上空に目をやった。
上空ではキュリオスがめまぐるしくイナクトと戦闘を続けていた。飛行形態でのミサイル攻撃。その弾幕を抜ければMS形態にチェンジしつつGNサブマシンガンを連続砲火・・・。めまぐるしく飛び続け、激しい動きを繰り返すアレルヤの身体には、先ほどの自分と比較にもならない、相当のGがかかっているだろうが、ペースを乱すこともなく、善戦していた。
(俺だったらもたないな)
アレルヤのよく鍛え上げられた身体を思い出す。機体の特性と役割をよく理解していたからこそ、アレルヤは人一倍日々のトレーニングを自分に課していたのだったが・・・。
to be continued
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