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00の世界を借りて、いろいろ書き散らしています
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 リハビリに小説一本(笑)

 書いていないと、文章のテンポとか忘れますね。

 1期のロク刹とアレティエ です。
 「きみはガンダムマイスターにふさわしくない!」
 なつかしー
   お話は続きからどうぞ。
 うちのアレルヤ、超ヘタレ。



   出撃前



「それじゃみんな、よろしくね」
 スメラギの声が飛び、プトレマイオスクルーは散っていく。ティエリアはガンダムマイスターの最後尾についてブリーフィングルームのドアを滑るようにくぐった。無重力である。
 移動には通路の壁面に設けられたレバーを使う。刹那が先頭、アレルヤ、ティエリアと続いた。
「これでかれこれ20回目の出撃、か。刹那、今日もよろしくたのむぜ」
「ああ」
「内容は全部頭にたたき込んであるよな? 刹那」
「ああ」
「つれねえの。もっと何か言えよ。ああだけじゃなくて」
「ああ」
「っとと。まあそこが刹那らしいけどな」
 ロックオンとはいえば、壁のレバーにつかまり移動する刹那の横にわざわざ陣取り、器用に足を使い、支える物もなしに移動している。ガンダムばりの姿勢制御である。
 2人の会話に苦笑したのだろう。目の前のアレルヤの背中が揺れた。
「出撃前なのに、気がゆるんでいないか」
「え? あ、はい!」アレルヤが慌てて振り向いた。「ご、ごめんね……」
「別に君に言ったわけじゃない」
 眉をしかめるティエリアの視線の先では、先行する2人が会話している。
「なんか最近宇宙でのミッションが続くよなあ。いい加減、こう、地上の重力が恋しいぜ」
「そうだな」
「お、刹那もそう思う?」
「ああ。……風が、恋しくなる」
「風……そっか。そうだな」
 ロックオンの背中が笑った気配。左手をすいと刹那の方へ伸ばすなりその肘が折れ、グリーンのノーマルスーツがティエリアの視界を横にスライドする。顔がアレルヤの陰に隠れた。
 と、急ブレーキをかけたアレルヤの背中に、ティエリアは顔からつっこんだ。
「ぶっ!」
「ごめんティエリア」
 肩越しにアレルヤが謝る。彼はまったく体勢をくずしていない。
「止まるならそう言え。急に……」
「ごめんね」
「何を隠す?」
 ティエリアの視界を覆うように不自然に向き直ったアレルヤを押しのけ……るのは不可能だと知っているティエリアは、彼の肩につかまり前方に回り込んだ。
 目に飛び込んで来たのはロックオンと刹那のキスシーン。
「一体何をしているんだ君たちは!」
 有無を言わさず2人を引きはがす。
「無粋だねえ。恋人同士のキスでしょうが」
「……」
 肩をすくめるロックオンと、無言の刹那。ティエリアは髪を逆立てた。
「ロックオン・ストラトス! 刹那・F・セイエイ! 君たちは……」
「ガンダムマイスターにふさわしくないか?」
「そうだ。出撃前だというのに、緊張感を欠いている!」
「緊張感はちゃんとあるぜ。出撃前だからこそ、好きな人とキスして気合いを高めていこうと」
 なあ、と同意を求めるロックオンに、刹那がうなずく。
「なにふざけたことを言っている」
「ま、お前さんにはわかんない、か」
 ちらりとアレルヤに目をやり、苦笑したロックオンは体を反転させると、刹那を促して移動を再開した。
「ロックオン・ストラトス!」
「お前達も遅れずにな」
 ひらひらと後ろ手を振り、ロックオンは、刹那とともに、コンテナへと続くシャフトに飛び込んでいった。


「……いくぞ」
「そうだね」
 今度はアレルヤを先導して、ティエリアもシャフトに移動する。プトレマイオスの構造上、見かけの上下を貫く形で船体の中心部に一本の移動用シャフトがある。キュリオスとヴァーチェのコンテナは同方向。エクシアとデュナメスは中心を挟んで反対方向に位置する。必然的に、互いのコンテナへの分かれ道までは、シャフトの中でもアレルヤと一緒だ。
 シャフトに滑り込むなり、アレルヤに抱き寄せられて、ティエリアは慌てた。
「なにを」
「いいから、ちょっとこのままでいて」
「アレルヤ! ふざけるな」
「このままでいてって。お願い」
 アレルヤの腕は柔らく抱いているようでいて力強く、逃れられない。
「離せ。おれたちはあいつらとは違う」
「わかってる」
「だから、こういうのは」
「いいから」
 力を増したアレルヤの腕。肩口にティエリアの顔が当たっているから、丁度右目を隠しているアレルヤの前髪がティエリアの頬を滑る。
 それがくすぐったくてみじろぎをすると、抵抗と取ったのか、腕の締め付けがきつくなった。
 どうしてそんな、おれなんかに必死なんだか。
 ため息をつくと、頭上から笑う気配がする。
「……あきらめてくれた?」
「下手に動いて余計な疲労をためない方がいいと判断したまでだ」
「うん」
「だから、離せ」
「だめ」
「アレルヤ」
「嫌だ」
「出撃前だぞ」
「わかってる」
 頑是無い。
 こうなるとアレルヤは意外に頑固ものだ。無駄なことはよして、その腕に身を任せることにした。
 無重力のシャフトを、アレルヤに抱かれたまま進む。
 腕の中は暖かくて、眠ってしまいそうだ。
 無意識に目を閉じていた。
 と、アレルヤの声が、顔を預けた肩の振動になって伝わってきた。
「よし」
「え?」顔を上げると目の前に唇があった。心臓が跳ねる。
「ぼくも……」
 両肩をつかまれ、そのまま伸ばされた腕の分だけ距離が開いた。アレルヤの顔が正面に来る。
 寄せられた眉とグレーの瞳。
 切羽詰まった、その。
「あ……」
 手を伸ばそうとしたそのとき、2人は分岐点に到着した。
「あ。ほら、着いたよ」
 180度方向転換させられ、背中に大きな手が当たる。
「それじゃ。気をつけてね」
「え? え?」
 ティエリアの体がヴァーチェに向かい押し出された。



 ティエリアが我に返ったのは、ヴァーチェの冷たいボディに触れたときだった。
「……」
 コックピットに滑り込むと、ヴァーチェを起動させる。
 青い光が網膜をトレースする。体が動くまま、準備を進めた。
 クリスティナとのやりとりを繰り返し、コンテナが発進位置に進む。
『発進準備完了。発進のタイミングをヴァーチェに譲渡します』
「了解」
『……』
「……」
『ヴァーチェ、発進どうぞ』
「……」
『ティエリア?』
「……が」
『え?』
「……すればいいだろうがあっ!」
『ひええええええ!』
「ヴァーチェ、発進する!」



 ずどどどど、と擬音を背負い艦外に出るなり最大加速で作戦宙域に向かうヴァーチェ。
『……お前、GNバズーカで撃たれてこい』
 ロックオンのあきれた声をBGMに、アレルヤは蒼白になっていたという。




 end 

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